アカヒゲはその神秘的な姿からフォレストアドベンチャーの間でも人気となっていますが、今回はなぜ多くの人々を引き付けて止まないのか、その魅力についてご紹介します。
本種は鳥網スズメ目ヒタキ科Larvivora類に属し、主に沖縄県周辺に生息しています。
主に頭部から腹部にかけて黒い羽根、後頭部から背中にかけて橙褐色や赤褐色の羽が生えており、美しい姿を見せてくれます。
種小名はkomadoriで、当時はコマドリと間違えて登録されたほか、諸説ありますが、コマドリからイメージして和名をアカヒゲとされた説が有力です。
しかし、その後科学技術が発達しミトコンドリアDNAを解析したところ、同じ鳥網スズメ目ヒタキ科に属するシマゴマやコルリと近いということが判明し現在の分類になり、当初は間違えていた登録が実は正しかったというハプニングもありました。
本種は、2種類の亜種を含めた以下のような独立種が認定されています。
アカヒゲは奄美大島、徳之島、トカラ列島、男女群島に生息し、オスは腹部が黒く側部に斑点があり、メスは外縁が灰色なのが特徴です。
ホントウアカヒゲは沖縄本島北部に生息し、翼の先が丸くなっており、翼が橙褐色でこちらのオスは側部の斑点がありません。
ウスアカヒゲは与那国島周辺に生息し、当初、亜種として認められていましたが、採取例が1と少ないことや基亜種と大きな変化が無いことから、近年になって亜種ではない可能性も指摘されはじめています。
頭部から背中にかけてより赤い赤褐色の羽が生え、額の斑点が大きめなのが特徴です。
本種は1970年に国の天然記念物に指定されたのをはじめ、1993年には国内希少野生動植物種に認定されたほか、IUCNレッドリストにも記載され、絶滅危惧種としてその存続が危ぶまれています。
その原因となったのが人間が持ち込んだマングース、野犬などの天敵による捕食や、酪農用のヤギが生息地まで入り込んで草や木を食することで環境が損なわれたことなどがあります。
今やその数は沖縄北部で2万羽から3万羽程度、沖縄中部で2千羽から3千羽と言われていますが、その実態はもっと減少しているとの調査結果もあります。
さらに沖縄中部では、ここ数年で繁殖をした形跡がほとんど確認されないという状況までに陥っています。
このため、自然保護区でもなかなか見つけることは難しく、フォレストアドベンチャーにとっては幻の鳥になりつつあるからこそ、貴重な体験を求めて旅をする方も増えています。