2021年7月に沖縄奄美の世界自然遺産への登録が決まりましたが、この沖縄県の県鳥に指定されているものがノグチゲラです。とはいえ意外にもその特徴などはあまり知られていないと言えるでしょう。ノグチゲラは国の特別天然記念物にも当たり、絶滅危惧種にも指定されています。世界でも沖縄本島のヤンバルの地域にしかいないとされていて、郷土を代表する鳥として、1972年に沖縄県の県の鳥に選定されています。1977年には絶滅危惧種として、国の特別天然記念物にも指定された鳥です。

なぜこのような名前が付いているのかと言うと、一羽のキツツキの幼い鳥を採集した日本人の名前が野口さんだからです。これが和名の由来になっているとも言えるでしょう。ちなみにノグチゲラのゲラとはキツツキのこととの説明があります。外見の特徴としては、全長は約30センチ程で、オスとメスに個体差はありません。体重は約140グラムほどとされていて、体の色は黒い褐色な物の、頭頂部は赤い色をしているのがオス、黒っぽい色をしているのがメスにあたります。オスもメスもひなは頭頂部が赤い色をしています。
翼にはいくつもの白い斑点があるのがひとつの特徴です。具体的な生態としては、一夫一妻であり、一度つがいが形成された場合には、パートナーが死んでしまうまではつがいは継続することになります。同じパートナーと毎年一度だけ繁殖を行い、主にイタジイなどの幹に穴を掘って巣を作ります。産卵数は2から5号で、卵の色は白、孵化までは約12日ほどがかかります。寿命は10年以上と言えるでしょう。
夫婦の絆が非常にかたいことがわかりますが、雛の餌としては、甲虫類の幼虫、クモ、ムカデなど、またヤマモモの実などを与えることになります。特にオスの場合には蝉の幼虫、雲などを地面に降りてくちばしで土を掘り捕まえて与えます。このオスの行動は他のキツツキの仲間では見られることのない、独特な餌の取り方と言えるでしょう。なぜノグチゲラは生息域が限られているのかと言うと、ノグチゲラが繁殖していくことができる森林は樹齢が50年以上とのものだからです。伐採やその他の開発行為などによってどんどん生息域が狭まってきてしまったのです。マングースが侵入したことも大きな脅威の一つと言えるでしょう。
以前までは100羽程度しか生息していないとされていましたが、現在では400羽程度とされていることから、増加傾向にあることがわかるでしょう。島を渡ることのない鳥であるため、沖縄のこの森で脈々とその命をつないでいると言えます。